不動産会社は、まちのひとたちの人生に向き合う仕事。多様な声が集まるからこそできる地域に根差した挑戦 -株式会社サトーホーム-

小山市に本社を置き、小山市、宇都宮市、下野市で不動産売買、賃貸、新築、リフォームなどを行っている株式会社サトーホーム。足を運ぶお客様も多様で、地域に愛されている不動産会社です。

1994年に創業されるも、2010年に社長が急逝。悲しみのなか残された社員とともに社長の意思を引き継ぎ、奥様である佐藤節子さんが社長に就任しました。

社長に就任されて11年。今では不動産業だけでなく、認可保育園や放課後等デイサービスなど、働く女性がいるご家庭の助けとなるような事業も数多く展開しています。今回は、そんなサトーホームの代表、佐藤節子さんにお話を伺いました。

先代の急逝。「このままではだめだ」と立ち上がった

「突然先代が亡くなり、25人の従業員を抱えたまま会社が存続の危機に瀕しました」

もともと人前に出ることが苦手だったという佐藤さんですが、「このまま私の人生も、この会社も終わって良いのか」と考え一念発起。社長を引き継ぐことを決断したそうです。

「不動産業は、エイブルが5店舗。時代によって場所を変えながら、今現在も多くのお客さまにご愛顧いただいています」主に取り扱っているのは築年数の古い物件で、他の業者だと取り扱っていないものも多いそうです。

「ただ家賃を下げるだけでいいのか、お金をかけてでもリフォームして家賃を上げるのがいいのか。言いづらいこともありますが、売却の提案もさせていただくこともあります。物件のオーナーさんとともに何が最適かと考えると同時に、オーナーさんの人生とも寄り添う仕事なんです」と、佐藤さん。

地域の物件を取り扱うことは、オーナーさんの人生における大きな選択に関わるということです。不動産業として当たり前のことをやっているのに、オーナーさんからも入居者の方からも感謝される、人の人生に寄り添う仕事だと語ります。

家を探すためにサトーホームに訪れるお客さんのなかには、生活保護を受けている方や外国籍の方など、「他の不動産会社では借りられなかった」と言う方も多いのだという。

社会的に弱い立場に置かれている人たちにも向き合っていく。それは、サトーホーム先代のポリシーなのだそうです。「仕事のためだけではなく、困っている人のために動きたい」と、佐藤さんの力強い言葉が響きます。

女性たちが活躍できる社会に。サトーホームの取り組み

サトーホームの特徴的な事業としては、保育園や子ども向けの放課後等デイサービスなども挙げられます。女性スタッフの割合が61%を占めるサトーホームにおいて、女性が活躍できる環境を整えることは重要なテーマのひとつです。

「子どもがいるから働けないという女性は、多くいらっしゃいます。でも今はもう、そういう時代ではありません。そこで立ち上げたのが小規模保育園です。定員は最大でも19人で、02歳くらいの一番の手がかかり重要な時期のお子さんを大家族のように手厚く寄り添って育てる保育園です」

また、ハッピーテラスという放課後等デイサービスも手掛けています。これは発達障害を持つお子さんが、学校が終わった後の放課後や長期休暇などに通うことができる教室です。

地域の方々へ向き合いながら、不動産のオーナー様や社員にも寄り添うサトーホーム。佐藤さんは、「地域に根差したい。何かあったときに、『この会社がなくては困る』と言っていただけるような会社になりたい」と力強く仰います。

外国籍の方、生活保護を受けている方、離婚する方… 不動産会社は、人生に向き合う仕事


地域の課題について議論される場が行政主導で度々開かれることがありますが、考えないといけないことのひとつに声をあげられない人の声が可視化されにくいという点があります。

例えば、ひとり親世帯で小さな子どもがいる保護者が会議に出席することは簡単ではありません。そういったリアルな声を吸い上げることが難しい状況があります。

サトーホームには、生活保護を受けられている方や外国籍の方など、声をあげにくい社会的マイノリティの方の生の声が多く寄せられています。

「コロナ禍で、外国籍の方が部屋を借りられず本当に困っていました。『助けてください』と窓口で言われたこともあったそう。他にも、結婚だけでなく離婚で物件を探している方や、ストーカーから逃げるために探している方もいらっしゃいます。特に離婚された女性でお子さんを抱えていらっしゃる方は、養育費がない場合もあるので仕事もセットで考えないといけません。そうなると、不動産会社だけでは対応しきれなくなってしまいます」

そういった相談を受けても、解決策を提示できず歯がゆく感じることがあるそうです。そんな時にもし、行政をはじめとした公的機関との連携が取れており相談窓口を紹介することができるとしたら。これまで支援が行き届いていなかったことをサポートできる社会づくりへの可能性が見えてきます。

「ご本人の状況を具体的に聞かないと良い物件は案内できないので、結果的にかなり深いところに踏み込んだお客さまの情報を知ることになります。でも、こういった相談ができる不動産会社の存在が、実はまちの安心安全に繋がっているのではないかと」

お客さんの人生に寄り添う仕事だからこそ、一人ひとりの課題に向き合い、ひいてはまち全体の課題解決への糸口が不動産会社にはあるのかもしれません。

小山市の不動産会社から生まれる挑戦の数々

佐藤さんのお話を伺って、地域の不動産屋が担う役割は物件の紹介にとどまらず、時に人生を見直す機会をつくり、時にセーフティネットになり得る、なくてはならないものだということが分かりました。今後、サトーホームとして挑戦したいことに、佐藤さんは小山市での小規模保育園と、低価格の高齢者専用賃貸住宅の提供を挙げます。

「小山市には認定こども園が多くありますが、02歳児を少人数で手厚く預かることができる小規模保育園がありません。さらに安心して子どもを預けられる場所をつくることで、潜在的に働くことを諦めていた人たちの助けになると思うので、チャレンジしたいです。不動産の方で言うと、高齢者が安心して住める住宅をつくっていきたいです。私も年齢を重ねていきますので、当事者意識を持った家づくりをしていけたらと思っています」

住む場所を変えることは、人生のターニングポイントであることが多く、サトーホームは多くの多様な人生に関わる仕事です。

公的機関や他企業との連携を見据えると、まだまだ広がる可能性があるかもしれないと前向きな佐藤さん。地域に根差した、愛される不動産会社の挑戦はまだまだ続きます。

■会社情報
 株式会社サトーホーム
 ホームページ:https://www.satohome.co.jp/(外部リンク) 

 戻る

タイトルとURLをコピーしました